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12.息子の不運 [中学生時代]

 梅雨真っ只中のこの時期、家にいても外に出ても、海辺の町では磯の香りを多分に含んだ湿気がじっとりと肌に吸着して、活力が奪われていくような気になります。

 あれほどパワーに満ち溢れていた息子にしてもしかり。
 中学校生活の緊張が徐々にほぐれ、本格的に部活動も始まって、さあ初めての中間テストだという矢先、これから始まる長い病院通いの口火を切ることになるストレス性胃炎を発症したのでした。

 私たちの時代よりもかなりレベルが高いと思われる授業のストレスもさることながら、これまで積極的に体を動かすことのなかった息子にとって、毎日夜7時まで行われるハードな部活動は、基礎体力がつくまではやはり大きな負荷です。

 柔道部からの熱烈な誘いを振り切って彼が自分で選んだのは、これまでやったこともないバレーボールでした。
 選択の理由はわかりませんが、膝や肘に毎回新しい擦り傷を負いながらも楽しそうに練習の様子を聞かせてくれるので、私はすっかり安心していました。

 ところがある朝突然、息子は胃痛と吐き気を訴えたのです。

 朝一番で病院へ連れて行くと、なんと過労による胃炎という診断でした。
 胃が痛いとは息子も一人前になったものだと感心しつつ、翌日気分転換に仲良しの友だちの家へ遊びに行くというのを引き止めもしなかったのですが、第二の不幸はその家で起こりました。

 いつもは仲良く遊ぶのに、その日はちょっとしたことでけんかになり、息子の繰り出したパンチはドアのガラス窓をぶち破り、その破片で左手をざっくり切ったのです。

 しかし、友だちのお母さんが看護師だったため、すぐに知り合いの救急病院まで送ってくれて、日曜日の夕方だというのに早急な措置が施されたことは不幸中の幸いでした。

 それから抜糸までの10日間、部活動はお休みし、月、水、金は夫が、火、木、土は私が付き添い、雨の日も風の日も、自転車で20分の病院通いが続きました。

 通い始めて6日目の金曜日、胸騒ぎがして職場から自宅へ電話をかけると、案の定息子が40℃を超える熱が出たというではありませんか。
 第三の不幸到来です。
 こんな時に限って夫も私も残業という状況は、これまで何度となく経験してきたことですが、今回もまた友だちのお母さんに頼み込んで、高熱でフラフラの息子を病院へ連れて行ってもらい、おかげで事なきを得たのでした。

 そんな調子で臨んだ初めての中間テスト、期待するような結果が得られなくて当然です。
 成績表の片隅にある本人と保護者の反省欄に、保護者として「中学校の厳しさを知ったという点で初めてのテストはいい勉強になっただろう」という、他人事のほうなコメントを書き込みながら、ふと本人反省欄を見ると、「バッチリだった」とあります。
 このテストのどこがバッチリだよ、とあきれたものの、身体的にはあちこち故障が出ていても、精神的にはまだ余裕があることはよくわかりました。

 バレーボールの練習も再開し、やっと普段通りの生活が戻ってわずか2週間後、今度は耳が聞こえないと騒ぎ出した息子。
 耳鼻科を受診すると、彼は重い滲出性中耳炎に罹っていました。

 期末テストを来週に控えて再び病院通いの憂き目に遭遇し、私の脳裏には早くも次の成績表の反省欄に綴る文章が思い浮かぶのでした。

ストラップ勾玉.jpg

息子のお守り2008


☆保育園、小学校、中学校と、お母さん仲間には本当にお世話になりました。”お母さん”というのは基本親切です。
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