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11.中学校の入学式 [中学生時代]

 4月という月は入学や進級の月であり、毎年何かしら新しい気持ちで迎えていますが、今年は息子が中学生となり、私も新しい職に就いたため、格別変化に富んだスタートとなりました。

 中学入学の準備をあまりに早く開始したため、注文した制服の詰襟が届く頃には息子はまた一回り大きくなって再び注文し直す、というようなことを繰り返して迎えた入学式当日。
 とろんと眠くなるような春の陽射しの中を、母親の身長を優に越えた息子と歩くこと30分、中学校に到着です。

 正門前に貼り出されたクラスを確かめて、子供たちは別室へ、親は一足先に体育館へ向かい、緊張の入学式が始まります。

 1年生全体で9クラスあるうち、息子が振り分けられたクラスは1年3組。
 ついこの前の小学校の卒業式での表情とは異なり、まだ自分の居場所が定まらぬ不安顔で入場して来た新入生たちは、皆同じ制服で同じ髪型のため用意に区別がつきません。
 人一倍大きい子供に焦点を当てればそれが我が息子かと思えば、上には上がいるもので、先生かと見紛うほどの巨大な生徒に目を奪われている間に、息子はとっとと通り過ぎていました。

 型通りの祝辞や来賓紹介が終わると、親も子も最大の関心事である担任紹介です。 
 中学校では教科によって担当教師が変わるとはいえ、やはり担任の先生が与える影響は計り知れません。
 壇上に並んだ先生方は、集団の中から無作為に抽出されてきたようなまさに老若男女。この中のいったい誰が子供の担任になるのか、何の前知識もない親たちは、単なる外観上の印象で、あの先生がいい、この先生は勘弁してくれ、と勝手なことを言い合います。
 次々と担任が紹介されるごとに保護者席から流れ出るため息を、壇上の先生方はどんな気持ちで聞いたのでしょうか。親として、そのため息が意味する複雑な感情を理解できる一方で、まるで品定めでもされているかのような先生方が気の毒でもありました。
 息子の担任は、私とさほど年の変わらぬ美術担当の女性教諭でした。

 入学式の翌週から、息子は重い教科書と弁当を背負った中学生となり、私は満員電車に揺られる勤め人となりました。
 
 息子の中学校は西明石駅の南、ゴミゴミと商店や居酒屋が軒を連ねる一角に位置し、環境はいま一つです。また3つの小学校が一緒になるため生徒数はかなり多く、これからの成長度合いを考えるに一人当たりの空間がいかにも狭い。さらに今ではどこの中学校でも多かれ少なかれ噂されるごとき問題が、ご多分に漏れずここにもある、と、私の受けた印象はお世辞にも良いとは言い難いものでしたが、当の本人は早くも多くの友だちを作り、積極的にクラブを見学して回り、評議員にも立候補するなど、前向きな中学校生活を送っています。

 この先に待ち受けている厳しい競争社会とは無縁であるかのような息子ですが、試験のたびに順位がつき、否応なく他人と比較される場面に遭遇する時、この子はどんな反応を示すのか、どう変わっていくのか、これからの3年間はなかなか見応えがありそうです。

 それにしても、それぞれの新しい環境の中で、息子にはすでに生活を楽しむ余裕があるのに比べ、私にはいまだ緊張と疲労しかないという事実は、年齢のせいばかりでなく、社会性を身につけぬまま狭い世界に巣立ってしまった者と、中学1年生にして人の中でうまく生きる術を心得ている息子との差にあるようで、悲しいかな息子に励まされる日々は当分続きそうです。

林崎松江海岸.jpg


☆この時の担任の先生は、軽井沢彫りが大好きな先生でした。さすが、美術の先生!お目が高い!

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