2.音楽会での試練 [小学生時代]
日本の学校に転入したその日から最高に楽しい学校生活を送っていた息子に、第一の試練が訪れました。
1ヵ月後に開かれる音楽会の合奏で、リコーダーのパートが当たってしまったのです。
渡米前にリコーダーは購入したものの、結局授業で使う前に転校することになり、アメリカの学校でも出番がなかったため、息子は持ち方すら知らないまま今に至っていたのでした。
大あわてでリコーダーの猛特訓開始です。
まずは私がお手本を示すべく、古い記憶を辿りながらドレミファソラシドと吹いてみせます。
中学卒業以来、私もリコーダーなど手にしたことはありませんでしたが、指がちゃんと覚えていました。
指使いの完全な記憶が戻って思うように音が出せるようになると、息子の存在など忘れてしばらくプップー、プップーと思いつく曲を片っ端から吹いてみます。我ながら何と素晴らしい音色だろうかと感慨にふけっていると、息子が早く自分も吹きたいと言うので、やむなくリコーダーを返してやり、音を出すところから練習開始です。
リコーダーに限らず、楽器初挑戦の人が醸し出す曲にならない音ほど不快なものはありません。
近所迷惑を考えてこの日の練習は早々に終了。
2日目、学校でも練習した甲斐あって、ドレミファソラシドを順番通り吹くことに成功。
3日目、単独で指定された音を出せるようになる。
そして4日目、ようやく演奏曲の練習に入ります。
演奏曲は「カルメン前奏曲」。
ところがリコーダーの楽譜を見ると、今まで練習してこなかった1オクターブ高い音がメインであることに気づいて愕然とします。
息子は毎日猛然と練習しました。学校でも、放課後残されて特訓を受ける日々が続きました。
いよいよ本番が目の前に迫ったある日、学校から帰った息子が珍しくしょんぼりしています。音楽の先生から、自信がなかったら本番では音を出すなと言われたのだそうです。
確かに合奏の時、調子のはずれたリコーダーの音は目立ちます。先生の気持ちもわからないではありません。いかにも日本的な発想ですが、実際ここは日本なのだからそうすべきだったのでしょう。
けれども息子と相談の結果、思い切り吹いてしまえ、ということになったのでした。
本番当日、息子たち5年生の演奏は感動的でした。
5年生ばかりでなく、どの学年の演奏もレベルの高い内容で、ここまできたら完璧に仕上げたいと思う先生方の気持ちもよくわかるのでした。
やはり息子のリコーダーが足を引っ張ってしまったか、先生からは、
「今までの中でいちばんよくなかったけれど、みんなご苦労さま」
というお言葉を頂いたそうですが、息子は後に音楽会の感想文の中で、”うまくできたところもできなかったところもあったが、自分は満足できた”と書いていました。
アメリカの学校の音楽会で慣れない英語の歌を歌った時は、練習中も発表の最中も、とにかくとても楽しかったそうです。
それに比べて今回のリコーダー演奏、息子にとっては苦しい思い出ばかりかと思いきや、演奏が終わった後、極度の緊張からの開放感に皆の笑顔が戻る瞬間、”ほーっ”という感じがしてすごく嬉しかったのだそうです。始めから終わりまで楽しいだけでは味わえない感覚かもしれません。
しかしこの先、そういった場面には何度となく遭遇することになるのでしょう。
☆ 担任の先生は息子に過度のプレッシャーをかけないために、「本番では音を出すな」と言ったのかもしれませんが、息子には、吹くフリをするのもまた至難の技でした。 歌うフリして声を出さずにいると、胸ぐらつかまれて引きずり出されて1人で歌わされたりもしますから、気をつけませんと…(F高校応援歌練習時)。
1ヵ月後に開かれる音楽会の合奏で、リコーダーのパートが当たってしまったのです。
渡米前にリコーダーは購入したものの、結局授業で使う前に転校することになり、アメリカの学校でも出番がなかったため、息子は持ち方すら知らないまま今に至っていたのでした。
大あわてでリコーダーの猛特訓開始です。
まずは私がお手本を示すべく、古い記憶を辿りながらドレミファソラシドと吹いてみせます。
中学卒業以来、私もリコーダーなど手にしたことはありませんでしたが、指がちゃんと覚えていました。
指使いの完全な記憶が戻って思うように音が出せるようになると、息子の存在など忘れてしばらくプップー、プップーと思いつく曲を片っ端から吹いてみます。我ながら何と素晴らしい音色だろうかと感慨にふけっていると、息子が早く自分も吹きたいと言うので、やむなくリコーダーを返してやり、音を出すところから練習開始です。
リコーダーに限らず、楽器初挑戦の人が醸し出す曲にならない音ほど不快なものはありません。
近所迷惑を考えてこの日の練習は早々に終了。
2日目、学校でも練習した甲斐あって、ドレミファソラシドを順番通り吹くことに成功。
3日目、単独で指定された音を出せるようになる。
そして4日目、ようやく演奏曲の練習に入ります。
演奏曲は「カルメン前奏曲」。
ところがリコーダーの楽譜を見ると、今まで練習してこなかった1オクターブ高い音がメインであることに気づいて愕然とします。
息子は毎日猛然と練習しました。学校でも、放課後残されて特訓を受ける日々が続きました。
いよいよ本番が目の前に迫ったある日、学校から帰った息子が珍しくしょんぼりしています。音楽の先生から、自信がなかったら本番では音を出すなと言われたのだそうです。
確かに合奏の時、調子のはずれたリコーダーの音は目立ちます。先生の気持ちもわからないではありません。いかにも日本的な発想ですが、実際ここは日本なのだからそうすべきだったのでしょう。
けれども息子と相談の結果、思い切り吹いてしまえ、ということになったのでした。
本番当日、息子たち5年生の演奏は感動的でした。
5年生ばかりでなく、どの学年の演奏もレベルの高い内容で、ここまできたら完璧に仕上げたいと思う先生方の気持ちもよくわかるのでした。
やはり息子のリコーダーが足を引っ張ってしまったか、先生からは、
「今までの中でいちばんよくなかったけれど、みんなご苦労さま」
というお言葉を頂いたそうですが、息子は後に音楽会の感想文の中で、”うまくできたところもできなかったところもあったが、自分は満足できた”と書いていました。
アメリカの学校の音楽会で慣れない英語の歌を歌った時は、練習中も発表の最中も、とにかくとても楽しかったそうです。
それに比べて今回のリコーダー演奏、息子にとっては苦しい思い出ばかりかと思いきや、演奏が終わった後、極度の緊張からの開放感に皆の笑顔が戻る瞬間、”ほーっ”という感じがしてすごく嬉しかったのだそうです。始めから終わりまで楽しいだけでは味わえない感覚かもしれません。
しかしこの先、そういった場面には何度となく遭遇することになるのでしょう。
☆ 担任の先生は息子に過度のプレッシャーをかけないために、「本番では音を出すな」と言ったのかもしれませんが、息子には、吹くフリをするのもまた至難の技でした。 歌うフリして声を出さずにいると、胸ぐらつかまれて引きずり出されて1人で歌わされたりもしますから、気をつけませんと…(F高校応援歌練習時)。
タグ:音楽会
2008-07-03 23:00
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コメント(4)
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うふふ・・・
初めて足跡残しちゃおっかな~。
息子クンの小学生時代の顔、浮かんできますわ。
しかしDuarteさん、すごい記憶力だわ。○○年前のことでしょう??
やはり子育てというのは、そういうものなのでしょうね。
記憶力低下の激しいこの頃、
いろんなこと、残しておくべきと思いながらも、
そしてありがたいことに友人のリクエストもあるというのに、
なかなかブログ開設できぬ私。
整理せぬ写真があふれておりますわ。
二つ目なんて尊敬!だわ。読ませる文章力も!
名前から想像してね、私は誰でしょう。
by El Molino (2008-07-04 11:39)
おお!El Molino さん、コメント入れて下さってありがとうございます!
私もEl Molino さんにはぜひともブログ開設してほしいと思ってる1人です!so-netなのでEl Molino さんもきっとすぐ開設できるはず。
この2ndブログは出版本をもとにアップしているので、文章自体は大昔の文章なんですが、自分やダンナのことは昨日のことすら思い出せないのに、息子のことはもうたった今起こった事のことのように思い出せるのが不思議だわ~。
by Duarte (2008-07-04 16:28)
いい経験だったと思いますわ~息子くん。
でも、音を出すなというのは、本当にプレッシャーを与えないためのものだったんでしょうか・・・ちょっと先生に疑問が・・・
英才教育で有名な京都の某幼稚園では、できない子の楽器に音が出ないようにセロテープを貼る、という話しを聞いたことがあり、なんで?と聞くと、完璧な演奏を目指してるから、と。
わが子が通ってた幼稚園は自由すぎて、演奏中、なにもせずぼんやりしたり、歩き回ったりしていた息子をそのまま自由にしてくれてました。
・・・まあ結果、変な子に育ってますけど(^-^;
思い切りふいてしまえ、っていうその教育はすばらしいと私は思いますよぉ~v(^^)v
by あつこ (2008-07-06 17:43)
あつこさん、ありがとうございます~!
英才教育の幼稚園の話、やっぱりそういうことって実際あるんですね。それって教え育てる”教育”からはかけ離れた感じですよね。
中学、高校は試験、試験で多かれ少なかれ子供は苦労するんだから、せめて幼稚園や小学校の時くらいノンビリしてほしいもんです。
息子さんはいい幼稚園へいきましたね!ノビノビお育ちですね!
by Duarte (2008-07-07 22:26)