19.トライやるウィーク [中学生時代]
兵庫県に住む中学2年生には、地域に出て職場体験をする『トライやるウィーク』と呼ばれる1週間があります。
数年前に県内の中学生が起こした凶悪事件を契機に全県的に広まったというこの活動、学校とは違う実社会の中で、働く体験を通して仕事というものを理解するとともに、地域で働く大人との交流を図ることを目的としています。
受け入れ先の事業所を確保するのはPTA役員の仕事です。
学校では生徒たちの希望を聞いて各事業所への振り分けを行い、監視役の保護者ボランティアを募り、先生と役員とで再度事業所へ挨拶に回り、そして受け入れ先の事業所では1週間の体験内容について検討を重ねます。
こうして周囲の大人たちによって完璧にお膳立てされた環境のもと、子供たちは緊張した面持ちで学校を離れ、職場へと旅立っていくのです。
スーパー、老人ホーム、ガソリンスタンド、郵便局、JRに私鉄と様々な受け入れ先がある中で、息子が選んだのは明石市立天文科学館でした。
東経135度の日本標準時子午線上に建てられた、『時のまち明石』のシンボルです。
明石市内の6校から計15名の生徒がお世話になる天文科学館は、息子の中学校でも人気が高く、2回のくじ引きを勝ち抜いてその権利を得たのは、息子を含む3名の幸運な男子たちでした。
ウィーク中は部活も休みでいつもより早く帰宅した息子は、まるで小学校時代に戻ったかのように目をキラキラさせて土産話を披露してくれます。
最近では、神戸や大阪に出かけた帰路、電車の窓から山側に聳え立つ天文科学館が見えると、ああ帰って来たな、と思ってほっとするほど私にとっても身近な存在になっていますが、いまだ眺めるのみで入ったことのないその施設。いったい何がそんなに楽しいのか興味をそそられた私は、週の中日に夫と2人、ついに足を踏み入れることにしたのでした。
明石海峡が見渡せる高台に建つ天文科学館は、16階に観測室、13、14階に展望室、3階に展示室、そして2階から続く付属施設にはプラネタリウムを備えたセンスのいい建物で、折からの雨に薄暗がりの館内は宇宙の神秘をよりいっそう深くしていました。
そんな昼下がりのプラネタリウムの中で、オレンジ色の揃いのバッチを付けた息子たちは、黙々と投影前の清掃作業に取り組んでいました。
プラネタリウムの投影が始まり、のけぞって見上げる星の世界に、解説者の声が甘すぎず冷たすぎず、ほどよい響きで流れます。
この1週間で息子たちは、プラネタリウムの番組やホームページの制作、案内業務の他、館内清掃や花壇の整備などを体験し、館長さん始め多くのスタッフの方々と触れ合うことができました。
天文科学館からは後日保護者宛てに、丁寧な報告書が届きました。
報告書の終わりには
「子供たちにねぎらいとともにお礼の伝言をよろしくお願いいたします」
とありました。
社会のルールや仕事の厳しさを、中学生たちがどの程度理解できたかはわかりませんが、少なくとも地域の大人の優しさはしっかりと肌で感じたのではないかと思います。
まだ深く余韻に浸る息子を中心に夕食の卓を囲みながら、
「それにしてもプラネタリウムは素晴らしかったね」と言う私に、
「君はずっと寝てたじゃないか」とすかさず夫のチクリ。
まさか夫に気づかれていたとは…。
息子よ、申し訳ない。
☆天文科学館の後ろに柿本神社があることを知ったのは、昨年のことです。
数年前に県内の中学生が起こした凶悪事件を契機に全県的に広まったというこの活動、学校とは違う実社会の中で、働く体験を通して仕事というものを理解するとともに、地域で働く大人との交流を図ることを目的としています。
受け入れ先の事業所を確保するのはPTA役員の仕事です。
学校では生徒たちの希望を聞いて各事業所への振り分けを行い、監視役の保護者ボランティアを募り、先生と役員とで再度事業所へ挨拶に回り、そして受け入れ先の事業所では1週間の体験内容について検討を重ねます。
こうして周囲の大人たちによって完璧にお膳立てされた環境のもと、子供たちは緊張した面持ちで学校を離れ、職場へと旅立っていくのです。
スーパー、老人ホーム、ガソリンスタンド、郵便局、JRに私鉄と様々な受け入れ先がある中で、息子が選んだのは明石市立天文科学館でした。
東経135度の日本標準時子午線上に建てられた、『時のまち明石』のシンボルです。
明石市内の6校から計15名の生徒がお世話になる天文科学館は、息子の中学校でも人気が高く、2回のくじ引きを勝ち抜いてその権利を得たのは、息子を含む3名の幸運な男子たちでした。
ウィーク中は部活も休みでいつもより早く帰宅した息子は、まるで小学校時代に戻ったかのように目をキラキラさせて土産話を披露してくれます。
最近では、神戸や大阪に出かけた帰路、電車の窓から山側に聳え立つ天文科学館が見えると、ああ帰って来たな、と思ってほっとするほど私にとっても身近な存在になっていますが、いまだ眺めるのみで入ったことのないその施設。いったい何がそんなに楽しいのか興味をそそられた私は、週の中日に夫と2人、ついに足を踏み入れることにしたのでした。
明石海峡が見渡せる高台に建つ天文科学館は、16階に観測室、13、14階に展望室、3階に展示室、そして2階から続く付属施設にはプラネタリウムを備えたセンスのいい建物で、折からの雨に薄暗がりの館内は宇宙の神秘をよりいっそう深くしていました。
そんな昼下がりのプラネタリウムの中で、オレンジ色の揃いのバッチを付けた息子たちは、黙々と投影前の清掃作業に取り組んでいました。
プラネタリウムの投影が始まり、のけぞって見上げる星の世界に、解説者の声が甘すぎず冷たすぎず、ほどよい響きで流れます。
この1週間で息子たちは、プラネタリウムの番組やホームページの制作、案内業務の他、館内清掃や花壇の整備などを体験し、館長さん始め多くのスタッフの方々と触れ合うことができました。
天文科学館からは後日保護者宛てに、丁寧な報告書が届きました。
報告書の終わりには
「子供たちにねぎらいとともにお礼の伝言をよろしくお願いいたします」
とありました。
社会のルールや仕事の厳しさを、中学生たちがどの程度理解できたかはわかりませんが、少なくとも地域の大人の優しさはしっかりと肌で感じたのではないかと思います。
まだ深く余韻に浸る息子を中心に夕食の卓を囲みながら、
「それにしてもプラネタリウムは素晴らしかったね」と言う私に、
「君はずっと寝てたじゃないか」とすかさず夫のチクリ。
まさか夫に気づかれていたとは…。
息子よ、申し訳ない。
☆天文科学館の後ろに柿本神社があることを知ったのは、昨年のことです。
2009-01-08 09:57
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天文科学館の裏に子午線表示柱があり、そのてっぺんにはトンボがあるはずです。21回卒のHP内の「とんぼあれこれ」に私の投稿した写真が出ています。
by I先輩 (2009-01-14 20:57)
☆I先輩、
子午線標柱ですが、私はまさにその21回HPのトンボ尽くし写真館で存在を知ったのでした。
I先輩のお写真だったんですね!
(ということは、I先輩は明石へいらしたんですか?)
今度近くまで行った時には私も写真に撮って来ます。
by Duarte (2009-01-19 22:16)
明石に行ったのは大学の卒業旅行で、子午線標柱のトンボは見ていません。 トンボでググって見つけた写真です。
by I先輩 (2009-01-19 22:45)
☆I先輩、
そうでしたか。
大学の卒業旅行で来られたんですか~。
それでは、いつか実物を撮ってアップしますね!
by Duarte (2009-01-20 18:37)